半世紀を超える歴史の中で、磯野家・フグ田家を取り巻く声優陣は世代交代を遂げてきました。視聴者に違和感を与えないよう、制作陣とキャストが徹底的なリスペクトを持ってバトンを繋いできた軌跡があります。
特筆すべきは、主人公・フグ田サザエ役を務める加藤みどりです。1969年の第1回放送から現在に至るまで同一キャラクターを演じ続けており、声優界における生ける伝説として唯一無二の存在感を放っています。一方で、他の主要キャストは名優たちの手によって丁寧に引き継がれてきました。
波平役は、長年威厳ある父親像を演じた永井一郎から実力派の茶風林へと継承。マスオ役は近石真介、増岡弘を経て、包容力あふれる演技で知られる田中秀幸へと託されました。さらにタラオ役は、放送開始から50年以上務めた貴家堂子の逝去に伴い、愛河里花子へと交代。フネ役は麻生美代子から寺内よりえ、カツオ役は大山のぶ代、高橋和枝を経て冨永みーな、ワカメ役も野村道子から津村まことへとバトンが渡されています。どの交代劇においても、前任者のキャラクターへの愛と個性を尊重しつつ、現代の息吹を吹き込む見事な演技力が高く評価されています。