なぜ、これほどまでに依存が急速に進行するのか。その理由は、薬物が脳に達するスピードにある。肺から吸入された煙は、心臓を経由してダイレクトに脳へと運ばれる。この間、わずか数秒。脳内ではドーパミンが異常放出され、日常では決して味わえない強烈な快感と多幸感が突き抜ける。
だが、その代償はあまりにも大きい。快感が去った後に訪れるのは、激しい疲労感と、言葉にできないほどの強烈な不安感、そして「もう一度あの感覚を」という強迫的な欲求だ。脳の神経回路は急速に破壊され、自制心を司る前頭葉の機能は失われていく。自分でやめたいと思っても、脳がそれを許さない状態に陥るのだ。