組織の腐敗に対する最大のアンチテーゼとして君臨したのが、最強の呪術師・五条悟であった。彼の存在そのものが呪術界の勢力図を一人で書き換えてしまうほどの規格外であり、保守派の上層部にとっては最大の眼の上のコブであったことは疑いようがない。
彼は力による上層部の抹殺を選ばなかった。なぜなら、トップを首すげ替えたところで組織の体質が変わらなければ意味がないと熟知していたからだ。教育という手段を通じて新たな世代を育て、内側から改革を起こそうとした彼の道程は、旧体制との終わりのない冷戦でもあった。最強の男が背負った孤独と反逆の意志は、物語全体を引っ張る太い軸となっている。