TBS退社後、山口氏が2016年に上梓したノンフィクション『総理』(幻冬舎)は、政界と出版界に大きな衝撃を与えました。発売直後から増刷を重ね、瞬く間にベストセラーを記録したこの著書には、第二次政権発足以降の電撃的な政策判断や人事の内幕が圧倒的な臨場感で描かれています。
本書が際立っていたのは、通常では決して表に出ない首相執務室や私邸での緊迫したやり取りが、会話レベルで再現されていた点です。消費増税の延期判断、解散総選挙への打って出た夜、オバマ大統領の広島訪問に向けた水面下の外交交渉など、安倍氏本人の肉声や手帳メモに基づいた描写は、第一級の政治ドキュメントとして高く評価されました。
翌2017年には続編となる『暗闘』を刊行。財務省や官邸官僚との暗闘、メディア対策の舞台裏などをさらに掘り下げ、長期安定政権を支えた権力構造の力学を白日の下に晒しました。これらの著作は、現在でも第二次安倍政権の軌跡を読み解く上で欠かせない重要テキストとして参照されています。