『家政婦のミタ』以前の松嶋菜々子といえば、華やかで情に厚いヒロイン像を演じることが多かった。しかし、本作で彼女が見せたのは、感情を一切表に出さない冷徹な表情と、冷ややかな瞳の奥に隠された深い悲しみだ。
「笑わない」「瞬きを極力減らす」「感情の起伏を声に乗せない」という難題に挑んだ彼女の演技は、視聴者に強い恐怖と哀愁を同時に感じさせた。過酷な過去を背負い、自分の意思を殺して生きる三田が、時折見せるわずかな表情の変化や声の震え。そこに込められた緻密な表現力こそが、本作を単なる奇抜な話題作にとどめず、人間ドラマとして昇華させた最大の功績と言える。