連載初期、ジャンに対する読者の評価は「嫌味なライバルキャラ」「口先だけの男」といった冷淡なものが目立っていました。しかし物語が進むにつれ、彼に対する支持は爆発的なものへと変わっていきます。
SNSや国内外のレビューサイトにて「かっこいい」と絶賛される核には、彼が放った胸を衝く名言の数々があります。
「誰の骨かも分からねえ燃え殻に…オレは…何を言えばいい?」
(第18話「今、何をすべきか」より)
トロスト区奪還作戦ののち、凄惨に折り重なった戦友たちの遺体を前にしてジャンが呟いたこの独白は、彼の魂の分岐点でした。彼を大きく突き動かしたのは、トロスト区攻防戦で命を落とした親友マルコ・ボットとの約束です。
マルコはかつてジャンに向けて「ジャンは強い人ではないから 弱い人の気持ちがよく理解できる」と告げました。自身を特別視しない凡庸な人間だからこそ、他者の怠惰や迷い、そして底知れぬ恐怖を誰よりも深く共感できる。このマルコの遺言を抱きしめ、安全な憲兵団への道を自ら捨てて調査兵団へと歩み出た瞬間、ジャン・キルシュタインという男の伝説が始まったといえます。
また、声を吹き込んだ声優・谷山紀章氏の名演を語らずにはいられません。声を裏返らせてパニックに陥る初期の弱さから、マーレ篇で見せた低く芯の通った決意の滲む声調まで、ジャンの魂の揺らぎを完璧に肉体化しました。キャスト自身が役に深く共鳴し、泥臭いまでの人間味を喉から絞り出したことが、世界中の視聴者の胸を打つ推進力となったのです。