疑惑の火の粉は、行政の監督責任にも飛び火している。現場の調査に携わった海事調査官が残したとされる内部メモが流出し、水産業界に激震が走った。そこには、過去に複数回にわたって指摘されていた安全基準違反の警告が、行政側の判断で見送られていた事実が記されていた。
漁獲枠の管理と漁業指導を担う水産庁は、この文書の信憑性について「確認中」と繰り返すばかりで、明確な反論を提示できていない。現場の命を守るべきルールが形骸化し、経済合理性と書類上の辻褄合わせが優先されていたのではないか。海事調査官のメモが突きつける告発は、行政と現場の間に横たわる深い溝を容赦なく照らし出している。