彼の術式のモチーフとなったのは、日本神話に伝わる三種の神器ならぬ「十種神宝(とくさのかんだから)」だ。沖津鏡、辺津鏡、八握剣といった死者を蘇らせる力をも秘めるとされる神宝の伝承が、彼の式神や領域展開「嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)」の設計に色濃く反映されている。
最悪の式神「八握剣異戒戒神魔虚羅(やつかのつるぎいかいかいしんまこら)」の存在は、まさにその象徴だ。あらゆる事象への「適応」という破格の能力を持つ魔虚羅を自爆覚悟で呼び出す捨て身の戦術は、伏黒自身が抱えていた自己評価の低さと、極限状態での爆発的な潜在能力の落差を鮮明に描き出していた。