ボカロ曲のカバーにおいて、一部では「女性ボーカル曲を男性が歌うと世界観が崩れるのではないか」という先入観を持たれることがあります。特に『メランコリック』のように歌詞の語尾やニュアンスが女性的な楽曲では、その懸念が抱かれがちでした。
しかし、伊東歌詞太郎のカバーはこの通説を鮮やかに覆しました。彼のアプローチは、単にキーを下げて歌うことにとどまらず、「主人公の相手側(告白される側の少年)の心情」としても受け取れるような絶妙なニュアンスを醸し出しています。
また、音域に関しても「無理に原曲キーで歌うことだけが正義ではない」というプロのボーカル理論を実証しました。自身の声質が最も美しく響き、言葉のニュアンスがストレートに届くキーを選択することで、楽曲が持つ本来のメロディの美しさと歌詞の情緒を最大限に引き出しています。