開花直後は緑色を保っていた幼果が、長さ5cm〜10cm程度で成長を止め、次第に黄色く変色して軟腐してしまう現象。このトラブルに直面した際、多くの人が直感を疑いますが、農業試験場の生育データや生産現場の検証から、ズッキーニ結実しない決定的な理由は主に以下の3点に集約されます。
第1の理由は、受粉不足(単為結果の限界)です。ズッキーニはキュウリと異なり、基本的に受粉を行わなければ実が正常に肥大しません。受粉がなされない場合、あるいは花粉の付着量が極端に少ない不完全受粉の状態では、植物ホルモンであるオーキシンが十分に分泌されず、母株は「種子を形成できない無駄な器官」と判断して栄養供給をストップします。これがズッキーニの実が黄色くなる原因の約7割を占めています。
第2の理由は、カルシウム欠乏による生理障害(尻腐れ病)です。幼果の先端(花落ち部)から水浸状に黒褐色へ変色して腐敗する場合、病原菌ではなくカルシウムの移行不全が疑われます。土壌中にカルシウムが存在していても、極端な乾燥や過湿、あるいは窒素肥料(特にアンモニア態窒素)の過多によって根からの吸収が阻害されると、細胞壁の形成が追いつかず壊死を引き起こします。これがズッキーニ尻腐れ病の対策を急ぐべき典型的なサインです。
第3の理由は、樹勢のアンバランス(初期の着果過多)です。植え付け初期の株が十分に仕上がっていない段階で一番果・二番果を無理に着果させると、株全体の同化産物が枯渇し、後続の実を肥大させる余力がなくなります。植物体が生存を優先し、自ら幼果を淘汰する「生理落果」が発生している状態といえます。