日本整形外科学会やスポーツ外傷を専門とする臨床医の報告、そしてSNSや医療相談掲示板に寄せられる実体験を検証すると、受傷直後の認識不足が回復を大幅に遅らせている深刻な実態が浮かび上がります。
都内在住の40代男性は、草野球の守備で打球を追った瞬間、右膝裏に「後ろから蹴られたようなパチンという感覚」を覚えました。本人は「アキレス腱を切ったわけではないし、ただの強い筋痙攣(こむら返り)だろう」と自己判断し、帰宅後に湯船で患部を温め、強く揉みほぐすマッサージを行ってしまいました。その結果、翌朝には膝裏からくるぶしにかけて真っ黒な皮下出血が広がり、激痛で足を床につけなくなって救急搬送。診断は腓腹筋内側頭の重度肉離れ(II度断裂)であり、断裂部位の血腫拡大によって治療期間は通常の倍である2ヶ月を要することになりました。
また、日常的に感じる膝裏のつっぱり感違和感を「年齢のせい」と見過ごした結果、重大な疾患へと進行する事例も後を絶ちません。立ち上がり動作で膝裏が突っ張る、正座が崩れるといった微細なサインは、軟骨がすり減り始める変形性膝関節症初期サインである可能性が高いのです。厚生労働省の患者調査データ等でも、変形性膝関節症の潜在的患者数は2,500万人を超えると推定されており、膝裏の小さな違和感を放置して関節の変形を進行させてしまうケースが極めて多い現状があります。