平田洋介が抱える心の闇の根源は、彼の中学時代にまで遡ります。当時からサッカー部のエースであり学年の中心人物だった平田には、杉村という親友がいました。しかし、その杉村が陰湿かつ苛烈ないじめのターゲットになってしまいます。平田は杉村の苦しみに気づいていながらも、「自分にいじめの矛先が向くこと」や「クラスの平穏が乱れること」を恐れ、決定的な救いの手を差し伸べずに傍観してしまいました。
その結果、追い詰められた杉村は校舎からの飛び降り自殺を図り、重度の昏睡状態に陥ってしまいます。この悲劇は、平田の心に癒えることのない巨大な罪悪感とトラウマを刻み込みました。「自分の保身が親友を殺しかけた」という絶望から、平田は極端な強迫観念に囚われることになります。
平田が取った行動は、二度といじめを起こさせないために「自らが暴力と恐怖の頂点に立ち、学年全体を完全に沈黙・統制する」という異常な独裁支配でした。生徒間の争いや序列を一切禁じ、逆らう者を徹底的に制圧することで擬似的な平和を作り上げたのです。しかし、恐怖による支配は生徒たちの心を殺し、最終的に学年崩壊という破滅的な結末を迎えました。高度育成高等学校の入学審査において、この「過去の統制暴走」が致命的な欠陥と見なされ、平田は問題児が集まるDクラスへと送られることになりました。