手元にある紹介状の封筒に「親展」と書かれているのを見て、「勝手に開けたら犯罪になるのではないか」と怯える方は少なくありません。刑法には「信書開封罪(刑法133条)」が存在しますが、これは正当な理由なく他人の手紙を開封した場合に適用される条項です。患者本人の診療に関する診療情報提供書の開封は、本人が受取人または関係当事者であるため、法的な罪に問われることは基本的にありません。
では、制度上は紹介状の封筒を開けたらどうなるのでしょうか。結論から言うと、開封されたからといって法律上直ちに紹介状が無効になるわけではありません。しかし、医療機関側が懸念するのは「内容の改ざんや検査データの抜き取り」です。紹介状は医師から医師へ正確な診療情報を伝達するための公式文書であるため、封が切られていると真正性が担保できなくなります。
そのため、極めて厳格な管理方針を持つ医療機関や一部の診療科では、紹介状の開封が受診拒否の理由となる場合や、元のクリニックでの再発行を求められる事例が存在します。診察そのものを門前払いされることは稀ですが、改ざん防止の観点から「開封済みの紹介状は正式な書類として受理できない」と判断されるリスクは認識しておく必要があります。