国立京都国際会館の最大の魅力の一つは、圧倒的なスケールと独創性を誇る建築そのものにあります。設計を手掛けたのは、丹下健三の愛弟子であり戦後日本建築界を牽引した大谷幸夫(1924–2010年)です。1963年に行われた公開建築設計競技(コンペ)において、195点に及ぶ応募案の中から最優秀賞に選ばれました。
大谷が追求したのは、「自然と人間、そして世界の人々が集い語り合う場」の具現化でした。外観を特徴づけるのは、日本古来の合掌造りや神社建築の骨組みを思わせる台形フレーム(V字柱・逆台形構造)の反復です。比叡山を借景とする洛北の稜線に見事に調和し、コンクリート打放しの力強さの中に和の精神性を宿しています。
館内中央の「メインホール」は、1997年12月に世界の命運を分けたCOP3が開催され、歴史的な「京都議定書」が採択された会場です。議長席を見渡す扇形の座席配置、通訳ブース、天井から注ぐ光の演出など、大谷が意図した「対話と合意形成を促す空間構造」は、半世紀以上を経た現在も国際交渉の場として極めて高い機能性を発揮しています。
近年ではその高い芸術的価値が再評価され、定期的に開催されるオープンデイや特別ガイド付きの施設見学会には全国から建築愛好家やデザイン関係者が訪れています。敷地内に広がる広大な池泉回遊式日本庭園は、昭和の名造園家・小形研三によって作庭されたもので、建築と庭園、背景の山々が一体となった借景美は息をのむ完成度です。