対馬の比田勝港から高速船に乗り込む。エンジンが唸りを上げ、波しぶきを立てて走り出すと、スマホの電波が切り替わる前に釜山港の巨大なクレーン群が見えてくる。時間にして約1時間30分。東京から熱海へ新幹線で行くのと大差ない時間で、私たちは異国に降り立つことができる。
2026年現在、日韓を繋ぐこの航路はかつてない活況を呈している。週末を利用して釜山へ焼肉を食べに行き、夜には対馬に戻って温泉に浸かる。そんな「日帰り国境またぎ」が、もはや珍しい旅行スタイルではなくなった。国境とは壁ではなく、行き来するためのただの線なのだと、この海の近さが教えてくれる。