「せっかく味付けしたのに、翌日には味が薄まってびちゃびちゃになってしまった」という経験を持つ方は多いはずです。大根は約95%、人参は約90%が水分で構成されています。なますが水っぽくなる最大の要因は、野菜の細胞内にある余分な水分が調味料の浸透圧によって後から外へ染み出してしまう現象にあります。
この失敗を根本から防ぐ鍵が、塩もみの科学的なアプローチです。野菜の総重量に対して1.5%〜2.0%の塩を均一にまぶし、大根と人参がしんなりするまで10分〜15分間置くのが最適な時間です。時間が短すぎると細胞膜の脱水が不十分になり、逆に30分以上放置すると野菜本来のシャキシャキとした食感が損なわれてしまいます。
塩もみ後の水分を絞る際は、清潔なキッチンペーパーやさらし布で包み、「両手でしっかりと、繊維を潰さないギリギリの力加減」で絞り切るのが鉄則です。このひと手間を徹底するだけで、合わせ酢が野菜の内部まで均一に染み渡り、時間が経っても味が一切ブレない極上のなますに仕上がります。