日常臨床で最も頻繁に遭遇する耳鼻科領域のめまい疾患においても、眼振の現れ方には明確な個性が存在します。 ### 良性発作性頭位めまい症(BPPV) めまい全体の約50〜60%を占める最頻出疾患です。耳石器から剥がれ落ちた耳石の欠片が後半規管などの三半規管内に迷入し、頭を動かした際にリンパ液の異常な流動を引き起こすことで発症します。 特徴は、頭の位置を変えてから数秒の潜伏時間を経て激しい回旋性・水平眼振が出現し、頭を静止させておくと数十秒(長くても1分以内)で眼振が減衰・消失する点です。患者が「寝返りを打った瞬間」「ベッドから起き上がった瞬間」に激痛のようなめまいを訴える典型パターンです。 ### 前庭神経炎 内耳からの平衡感覚シグナルを脳へと伝える前庭神経に急性炎症が生じる疾患です。多くはウイルス感染が引き金と推測されています。前駆症状として風邪のような症状を経験した後に、突如として数日間にわたる激しい回転性めまいに見舞われます。 眼振の特徴は、健側(健康な耳の側)を向いたときに強くなる激しい水平・回旋眼振が一方向に持続して現れることです。難聴や耳鳴りといった聴覚症状を伴わない点がメニエール病との鑑別点になります。 ### メニエール病 内耳を満たす内リンパ液が過剰に溜まる「内リンパ水腫」が原因で発症します。メニエール病における眼振は非常に動的で、発作初期の刺激期には患側(病気の耳の側)を向く眼振が見られ、内リンパ圧の上昇や神経麻痺が進む麻痺期には健側を向く眼振へと方向が反転します。回転性めまいとともに、低音域の難聴、耳鳴り、耳閉塞感が同時に増悪するのが決定的な特徴です。
目が勝手に揺れる眼振動画の真実|耳の病気と危険な脳梗塞の見分け方
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