パイロットや特殊部隊員があらゆる極限状況下で休息を取るために開発された「米軍式睡眠法」は、2分で入眠する技術として世界中で支持されています。米軍の現場指導マニュアル(バド・ウィンター氏の著書に基づく技法)では、全身の筋肉を上から下へと段階的に緩めていくステップが基本です。
まず仰向けになり、額、眉間、目の周り、頬、顎の力を完全に抜きます。舌を口の底に自然に落とし、顔全体の筋肉がダラリと垂れ下がるイメージを持ちます。続いて肩をできる限り低い位置まで落とし、上腕、前腕、指先に至るまで力を抜いていきます。さらに胸、太もも、ふくらはぎ、足首、つま先へと弛緩の感覚を送り込みます。
全身が沈み込む感覚を得たら、最後の10秒間で頭の中の思考を完全に白紙化します。「穏やかな湖に浮かぶカヌーから青空を見上げている姿」を想像するか、あるいは頭の中で「考えるな、考えるな」と10秒間唱え続けます。このプロセスを繰り返すことで、思考のループが遮断され、急速に意識が遠のきます。
呼吸のコントロールを併用する場合は、アリゾナ大学医学部のアンドリュー・ワイル博士が提唱した4-7-8呼吸法のやり方を導入すると効果が増幅します。手順は至って明快です。
- 息を完全に口から「フーッ」と吐き切る。
- 口を閉じ、鼻から4秒間かけて静かに息を吸う。
- 息を止め、頭の中で7秒間キープする。
- 口から「フーッ」と音を立てながら8秒間かけてゆっくりと息を吐き出す。
これを4サイクル繰り返すだけで、肺胞の受容器が刺激されて迷走神経が活性化し、強制的に副交感神経が優位になります。布団の中で手足の重みを感じながら行う漸進性筋弛緩法や、足首を手前に曲げたり伸ばしたりする布団の中でできるストレッチと組み合わせることで、強張った身体が劇的にほぐれていきます。