美しい海辺の町・玻璃ヶ浦を舞台にした『真夏の方程式』は、前作の緊迫感とは対照的に、どこかノスタルジックで静謐な空気感を漂わせる。しかし、その陽光の下に埋もれていたのは、1本のペットボトルロケットが引き金を引く、あまりに重い因果の連鎖だった。
子ども嫌いを公言する湯川が、少年・恭平に対して見せる不器用な優しさは観る者の胸を打つ。自らが何に手を貸してしまったのかを薄々察してしまう恭平に対し、湯川は真実を告発して断罪するのではなく、「君は一人じゃない。共に考える」という言葉を贈る。科学者として、一人の大人として、少年が背負う影に寄り添う道を選んだ湯川の成熟が鮮烈に描かれた。