当時の芸能界を取り巻く構造も、火に油を注ぐ結果となった。旧ジャニーズ事務所による強力なメディア統制がまだ色濃く機能していた時代、地上波テレビや大手紙がこの騒動を正面から報じることは一切なかった。
公式が黙殺すればするほど、デジタル空間の熱狂は地下へと潜り、より攻撃的な形で先鋭化していく。メディアが伝えない「真実」を自分たちで暴き、拡散し、制裁を下さなければならないという歪んだ正義感、いわゆるデジタル自警団化が加速した。ブログの閉鎖やメディアからの降板へと追い込まれていく過程は、SNSの集合知がひとりの人間のキャリアを押し流していく、恐ろしいまでの破壊力を可視化していた。