雹による車の損傷は自然災害による損害であるため、自動車保険の「車両保険(一般型だけでなく限定カバー型・エコノミー型を含む)」の補償対象となります。しかし、安易に保険金を請求する前に、制度設計上の重大なペナルティを理解しておく必要があります。
かつて自然災害による車両被害は「等級すえおき事故」として扱われていましたが、保険料率制度の改定以降、現在は「1等級ダウン事故」として処理されます。翌年度の保険料等級が1ランク下がるだけでなく、最も割高な保険料率が適用される「事故有係数適用期間」が1年間加算されます。
さらに深刻な事態となるのが、雹被害 車 全損扱いの判定です。保険会社における全損とは、車がスクラップになった状態だけでなく、見積もり修理費用が保険証券に記載された「協定保険価額(車両保険金額の上限)」を超過する「経済的全損」を含みます。
年式が経過して車両保険の上限額が50万円に設定されていた場合、板金修理の見積もりが80万円に達した時点で自動的に全損扱いとなります。保険金上限の50万円は満額支払われますが、保険会社が損害車両の所有権を取得(引き取り)することが約款上の基本原則となります。車を手元に残して自己資金を足して直そうとする場合、買戻し交渉や保険金の減額といった複雑な折衝が発生し、多大な労力を強いられることになります。