宇宙世紀0093年を描いた劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において、ネオ・ジオン総帥となったシャアは、小惑星アクシズを地球へ落下させる作戦を決行します。地球を核の冬で包み込み、人類すべてを宇宙へ強制移住させることで、ニュータイプへの進化を促すという過激な大義名分を掲げました。
しかし、その壮大な大義の裏には、生涯のライバルであるアムロ・レイとの決着という、極めて個人的で人間臭い動機が隠されていました。一年戦争時、自らの精神的支柱であり母性を求めた少女ララァ・スンをアムロに奪われた(戦死させた)心の傷は、どれほど時が流れても癒えることはありませんでした。
「対等の条件でアムロと戦いたい」という個人的執念から、アナハイム・エレクトロニクス社を通じて連邦側に最新技術サイコフレームの機密をわざと横流しした行動は、政治的指導者としては許されない背信でありながら、一人のパイロットとしてのシャアの純粋さと脆さを如実に物語っています。