メガヒットを連発する巨大フランチャイズにおいて、主演級スター同士のプライドの衝突は珍しい話ではない。とりわけドウェイン・ジョンソンとヴィン・ディーゼルの間で表面化した摩擦は、SNSを通じた舌戦にまで発展し、業界内外に大きな衝撃を与えた。「プロフェッショナリズムの欠如」をめぐる応酬は、撮影現場の空気を極限まで張り詰めさせ、結果としてシリーズの座組そのものを再編させる契機となった。
この激震の渦中にあって、驚くほど冷静沈着なスタンスを崩さなかったのがジェイソン・ステイサムだ。元飛び込み競技の英国代表という異色の経歴を持ち、職人気質で知られるステイサムは、メディアの煽動に乗ることなく沈黙を貫いた。ステイサムはヴィンへの敬意を払いつつも、ドウェインとの間に強固な信頼関係を築き上げていく。派手な場外乱闘に加わらず、純粋にアクションの完成度を追求するそのプロ意識こそが、後の大ヒットへと繋がる土台となった。