北野エリアに現存する洋館群のなかでも、まず訪れるべき中核スポットが風見鶏の館(旧トーマス住宅)と萌黄の館(旧シャープ住宅)です。北野町広場を囲むように佇むこの2館は、ともに国の重要文化財に指定されており、建築的価値と歴史的背景の重厚さにおいて群を抜いています。
ドイツ人貿易商の邸宅であった風見鶏の館は、赤レンガの外壁と尖塔に立つ風見鶏がシンボル。室内にはアール・ヌーヴォー調の精緻な装飾が施され、当時の豪奢な暮らしぶりが鮮やかに蘇ります。隣接する萌黄の館は、アメリカ総領事の邸宅として建てられた木造2階建ての洋館で、その名の通り爽快な萌黄色(ライトグリーン)の外壁と、2階サンルームから見渡す神戸港のパノラマビューが圧巻です。
一方、山の手の高台に位置するうろこの家(旧ハリヤー邸)は、外壁を覆う約3,000枚の天然スレートが魚のウロコに見えることから名付けられた私立異人館の代表格です。館内には豪奢なアンティーク家具や名窯の陶磁器コレクションが所狭しと並び、隣接する展望ギャラリーからは神戸の街並みと大阪湾を一望できます。さらに、王立貴族の館であった英国館や、願い事が叶うとされる「サタンの椅子」で名高い山手八番館など、テーマ性の異なる館が点在している点が北野の奥深い魅力です。