西日本に目を向けると、「回転焼き」という名称が広く浸透している。これは、円形の金属板に取っ手がついた専用の焼き型をクルクルと回転させながら焼く製法に由来する。技術革新とともに手際よく大量に焼き上げられるようになった昭和初期、この「回転」という動きそのものが新奇さをもって受け入れられ、言葉として定着した。
また、近畿圏を中心に絶対的な知名度を誇るのが株式会社御座候だ。「お買い上げ賜り、ありがたく御座候」という感謝の意を込めた屋号は、やがて商品そのものを指す言葉として根付いた。同社は吟味された小豆を用いた高品質な餡と、目の前で焼き上げるライブ感を武器にデパ地下を中心に店舗網を拡大。結果として「大判焼きを買ってくる」ではなく「御座候を買ってくる」という表現が標準的になるほどの強力な文化圏を形成するに至った。