1970年の日本を語る上で欠かせないのが、大阪の千里丘陵を埋め尽くした万博の大フィーバーだ。運営を担った日本万国博覧会協会は、国家の技術力と近代化の成果を世界へアピールしようと緻密な計画を進めていた。
しかし、その中心に巨大な異物を打ち込んだ男がいた。芸術家の岡本太郎である。彼が提示した「太陽の塔」は、近未来的な大屋根を突き破る原初的で異様な異形の大建築だった。万博協会内部では当然ながら猛反発が巻き起こり、「調和を乱す」「万博の趣旨に反する」とする激しい議論が連日交わされたという。
新たに発見された協会の議事録には、岡本太郎の妥協なき姿勢に困惑する幹部たちの本音が克明に記録されていた。近代化の狂騒に対するアンチテーゼとして立ちはだかった大塔は、今なお強い存在感を放ち続けている。