本作の圧倒的な説得力を支えているのが、数々のヒット作を世に送り出してきた脚本家・森下佳子による綿密な時代考証と構成力だ。単に料理を美しく見せるだけでなく、「食べることは生きること」という普遍的なテーマを軸に、歴史の波に翻弄される人々のリアルな感情を描き出した。
劇中に登場する数々の料理や保存食の知恵、そして戦時下の食糧難を生き抜くアイデアは、当時の文献や口伝を徹底的に取材して生み出された。実在の偉人一人に依存せず、膨大な歴史的資料や人々の記憶を繋ぎ合わせてひとつの人物像を作り上げた点こそ、物語が持つ深い現実感の真相と言えるだろう。