若年層や海外ファンにとって、中島敦という名前に触れる最初のきっかけとなったのは異能力バトルアクション『文豪ストレイドッグス』の爆発的ヒットだろう。「月下獣」という能力名とともに可視化されたキャラクター像は、古典文学に対する「難解」「堅苦しい」という先入観を一気に打ち破った。
作品を入口として原作の『山月記』や『李陵』を手に取る若者が国内外で急増した現象は、コンテンツツーリズムや出版業界においても稀有な成功例とされる。キャラクタービジネスと純文学の奇跡的な融合が、中島作品を現代のエンターテインメントの表舞台へと引き戻したのだ。