本作を語る上で最大の関心事となるのが、RADWIMPS 愛し 読み方とその理由です。漢字表記「愛し」に対して公式に与えられたルビは「かなし」。一般的な現代日本語の感覚であれば「あいし」や「いとし」と読みたくなるところですが、野田洋次郎があえて「かなし」と命名した背景には、言葉の多面性に対する鋭烈なこだわりが存在します。
日本語の歴史言語学において、「愛し(かなし)」と「悲し(かなし)」は語源を同じくする言葉です。万葉集や古今和歌集の時代から、古代の日本人は「胸が締め付けられるほど切なく愛おしい感情」と「身を引き裂かれるような悲哀」をひとつの「かなし」という響きの中に共存させていました。野田洋次郎 作詞 意図の核心は、まさにこの「愛することの不可避な苦痛」を描き切る点にあります。
人を深く愛すれば愛するほど、相手を失う恐怖や己のエゴイズム、相手と完全に一つにはなれないという絶望に直面します。甘い幸福感だけではない、胸を締め付ける痛切な感情の正体を暴き出すために、この「愛し(かなし)」という多層的なタイトルが選ばれました。単なる言葉遊びではなく、愛の二面性を一語で突きつける詩的必然性がそこに宿っています。