人が虫に不快感を覚える最大の理由は、予測不能な動きと生物学的な異質性にある。人間の関節とは異なる多脚の素早い動きや、突然飛び立つ不規則性は、脳の警戒システムを即座に作動させる。生活衛生学の視点からも、歴史的に害虫が病原菌や病気を媒介してきた記憶が、無意識の忌避行動として受け継がれているとされる。
さらに、視覚的な形状も大きく影響している。光沢のある黒褐色、不自然に長い触角、カサカサという不気味な移動音。代表格であるゴキブリをはじめとする生物は、視覚と聴覚の双方から人間に強いストレスを与える。人間は「自分とかけ離れた形態の生き物」に対して生理的嫌悪感を抱きやすい。