シリーズを通してファンの最大の疑問となってきたのが、「アンディの父親(パパ)はなぜ一切登場しないのか」という点です。劇中の自宅には父親の姿はなく、家族写真にも母親と子どもたちしか写っていません。
インターネット上では長年、ピクサーの初期ライターであった故ジョー・ランフト氏の友人・マイク・モーツァルト氏が語った「ポリオ闘病・父親他界説」という裏設定が話題を集めました。その内容は「アンディの父親(アンディ・シニア)も昔ウッディを大切にしており、ポリオを患って他界する直前にウッディを息子のアンディに託した。家族が小さな家に引っ越したのも父親の医療費がかさんだからだ」という極めてドラマチックかつ悲劇的なストーリーです。
しかし、この説はピクサーの重鎮であり『トイ・ストーリー』の脚本・監督を手がけたアンドリュー・スタントン氏がTwitter(現X)上で「完全なフェイクニュースだ」と即座に否定しました。
父親が不在である真の理由は、1995年当時の過酷な3DCG技術の制約と制作予算の都合です。当時、フルCGで人間をモデリング・レンダリングすることは技術的に極めて困難かつ高コストであり、物語の中心であるおもちゃたち以外の「大人の人間」は最小限に抑える必要がありました。さらにストーリーテリングの観点からも、母親ひとりの家庭にしたほうがおもちゃたちにスポットが当たりやすく、不要な人物描写を省いてドラマをタイトに仕上げられるという実践的な判断が下された結果です。