練習を重ねてもボールがすっぽ抜けて高めに浮いたり、ただの緩い棒球になってしまったりする現象には明確な力学的理由が存在します。カーブが曲がらない理由の9割以上は、リリース時に「手首を意図的にひねってボールを曲げようとしている」点に集約されます。ボールに進行方向と逆向きの回転(トップスピン成分)を与えようとするあまり、リリースの直前に手首をドアノブを回すように強引に回旋させると、ボールを押し出す指先の支点が狂い、スッポ抜けやコントロール不能の原因となります。
プロのハイスピードカメラ映像やトラッキングシステムの詳細データが実証しているカーブのリリースのコツは、「ひねる」のではなく「縫い目にかけた中指でボールの前方を上から下へ叩き切る(抜く)」感覚です。リリース直前の前腕は、投球側の手の甲が捕手方向を向く形から、自然な小指先行(チョップ動作)の角度で振り下ろされます。このとき、親指はボールの下側でしっかりと支点となり、ボールが手から離れる瞬間、中指の指先とボールの縫い目に強烈な摩擦力が生じることで、鋭い順回転が発生します。
「手首を固定してロックし、人差し指と中指の間からボールを抜く」という表現も多用されますが、要は前腕の余計な捻転動作を排し、ストレートと同じ加速軌道の中で指先の圧力差によって回転を与えることが、鋭いブレーキと落差を生み出す決定打となります。