鯰組の最大の遺産は、建物そのものではない。「設計者と施工者が一体であるべき」という哲学であり、「施主も家づくりに参加すべき」という提案であり、「効率よりも質」を重視する姿勢だ。
現代の建築業界は、AI設計やプレハブ工法など、効率化の極致を目指している。それ自体は悪いことではない。だが、全てが効率化されれば、職人の技術は失われ、家は単なる「箱」になる。
鯰組が示したのは、もう一つの道だった。時間をかけ、手間をかけ、施主と職人が対話しながら作り上げる家。それは高価かもしれない。完成まで時間がかかるかもしれない。だが、そこには「温もり」がある。住む人の人生と共に呼吸する建物がある。