江戸の治安を担った町奉行所において、容疑者を屈服させるために用いられたのが、伝説的な拷問手法である石抱(いしだき)だ。時代劇の名奉行として知られる大岡忠相の時代においても、重罪人の取調べ現場ではこの苛烈な手法が認められていた。
石抱の仕組みは苛酷を極める。三角に尖った断面を持つ「算盤木(そろばんぎ)」の上に被疑者を正座させ、膝の上に数十キロもの重い伊豆石を次々と積み重ねていく。体重に加えて容赦ない加重がかかることで、尖った角が太ももや脛の肉を削り、骨をきしませる。正座という姿勢が持つ解剖学的な弱点を徹底的に悪用した、まさに悪夢のような拷問道具であった。