終電を逃した酔客や、夜の街を彷徨う人々に声をかける街頭インタビュー。一見すると偶然の出会いに見えるが、その裏にはディレクターたちの想像を絶する泥臭いロケの積み重ねがある。1晩で数十人に声をかけても、取材許可が出るのはほんのわずか。撮影班は寒風吹きすさぶ冬の路上や、蒸し暑い夏の深夜に何時間も立ち尽くす。
断られ続ける絶望の果てに、奇跡的に「家」への同行が許された瞬間、物語が動き出す。足の踏み場もない汚部屋、足繁く通う理由のある老舗の居酒屋、あるいは亡き家族の遺品がそのまま残された静寂の空間。日常の些細な会話からふと漏れ出る過去の挫折や秘めた恋、家族への思い。カメラは過度な演出を控え、ありのままの事実を記録していく。ロケ隊が目撃するのは、作り込まれたフィクションには到底再現できない、生々しい人生のワンシーンなのだ。