関節軟骨は、血管や神経がほとんど通っていない極めて特殊な組織だ。血液からダイレクトに栄養を受け取れないため、関節液の循環と軟骨基質自体の代謝バランスが組織の命運を握っている。長年信じられてきた「単一成分を大量に補給すれば軟骨が劇的に蘇る」という単純なモデルは、生化学の世界ではすでに過去のものとなった。
近年の臨床データが明示しているのは、軟骨代謝のスイッチをいかに「分解」から「合成」へと傾けるかというホメオスタシスの重要性だ。軟骨細胞(コンドロサイト)を取り巻く微小環境を整え、慢性的な炎症シグナルを抑え込みながら、細胞外マトリックスの原料を的確に送り届ける。この多角的なメカニズムこそが、いま医療・健康分野で熱狂的な関心を集めている栄養療法の本質に他ならない。