『アナと雪の女王』の日本語版が異例の成功を収めた最大の原動力は、松たか子氏と神田沙也加氏の2人が生み出した魂の演技にあります。公開当時、劇中歌「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」や「生まれてはじめて」は、テレビの音楽特番や街中の至るところで流れ続けました。
当時、米ディズニー本社の音楽製作陣が各国の吹き替え版を聴き比べた際、松氏の透明感と力強さを併せ持った歌声を「オリジナル(イディナ・メンゼル)に匹敵する、気品とエモーションを兼ね備えた歌声」と最大級の賛辞を贈ったエピソードは有名です。松氏は2026年の第92回アカデミー賞授賞式において、世界各国のエルサ役声優とともに日本人として初めてステージでの歌唱パフォーマンスを披露し、世界中のメディアから喝采を浴びました。
一方、アナ役を務めた神田沙也加氏は、幼少期から培った確かな歌唱力とブロードウェイ仕込みの演技力でオーディションを勝ち抜きました。当時の制作関係者が語るように、彼女はアフレコ現場で台本を抱きしめながら、身体全体を使ってアナの息遣いや心の揺れを表現していました。「ただ台詞を当てるのではなく、自分自身をアナに同化させていた」というストイックな姿勢が、劇中のコミカルな掛け合いから姉を想うシリアスな場面まで、観客の涙を誘うリアリティを生み出したのです。