猫の息が臭うと感じたとき、真っ先に確認すべきなのは「どのような匂いがしているか」です。臨床獣医師の報告によると、口臭の性質を嗅ぎ分けることである程度トラブルの発生源を特定できます。猫の口臭原因は、大きく分けて「口腔内のトラブル」と「全身性の内臓トラブル」の2つに分類されます。
最も相談件数が多いのは、「ドブのような臭い」「物が腐ったような腐敗臭」です。この強烈な悪臭の正体は、歯垢や歯石に潜む嫌気性細菌が産生する揮発性硫黄化合物(メチルメルカプタンや硫化水素など)です。歯肉炎や進行した歯周病、あるいは口腔粘膜が激しく炎症を起こしている状態であり、自然治癒することはまずありません。
一方で、「魚の腐ったような生臭い匂い」が漂う場合、口内炎の潰瘍から滲み出る膿や出血、あるいは胃腸機能の低下による消化不良が疑われます。さらに見逃してはならないのが、鼻を刺すような「ツンとするアンモニア臭」です。これは口腔内ではなく、猫の腎不全による口臭(アンモニア臭)の典型症状です。腎臓の機能が著しく低下し、本来尿として体外に排出されるべき毒素が血液中を巡る「尿毒症」に陥っている極めて危険な兆候といえます。
また、果物が腐ったような「甘酸っぱいケトン臭」がする場合は糖尿病の悪化、「便のような臭い」であれば腸閉塞などの消化器疾患が潜んでいる可能性もあります。このように、猫の内臓疾患による口臭は命に直結するエマージェンシーサインであることが多いため、単なる口の汚れと過信してはなりません。
あわせて観察したいのが、日常の仕草です。愛猫が頻繁に口をくちゃくちゃする理由は、歯と歯茎の間に食べかすが挟まっているだけでなく、歯周ポケットの炎症による違和感、口内炎の激痛、あるいはグラついた歯が舌に当たっている苦痛を訴えているケースが目立ちます。痛みのあまり前足で口元を気にする動作を見せたら、即座に口内を確認する必要があります。