都内の美容クリニックを取材すると、緊張した面持ちでカウンセリングを待つ若い女性の姿があった。「どうしても叶えたい夢がある」と語る彼女が望むのは、最強の金運をもたらすとされる「覇王線」の形成だ。施術室に入ると、熟練の美容外科専門医がペンで精密に掌へラインを描き出していく。
実際の施術で用いられるのは、通常の刃物ではなく高周波の電気メスである。皮膚の表皮から真皮層にかけて線状の火傷を作ることで、皮膚が修復する過程で消えにくい肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)を意図的に残す。古来から続く手相学の観点では「線が存在すること」自体に意味があるとされるため、この瘢痕を人工的な手相線として見立てるのだ。施術時間はわずか15分程度。局所麻酔を行うため作業中の痛みはほとんどないというが、焦げた皮膚の匂いが室内に漂う独特の緊張感が流れていた。