2014年2月、人間ドックのマンモグラフィと超音波検査で左胸にしこりが見つかった。医師からは生検を強く勧められ、精密検査の結果、乳がんの確定診断が下された。医師側は即座に手術と抗がん剤投与を提案したが、彼女がそのレールに乗ることはなかった。ここから、標準治療を開始するまでに約1年8カ月もの「空白期間」が生じることになる。
この間、彼女が頼ったのが気功や食事療法、酵素風呂といった科学的根拠を欠くアプローチだった。進行速度の速い乳がんであったにもかかわらず、メスを入れることへの恐怖や、母として体を傷つけたくないという切実な思いが、代替医療・民間療法へと足を踏み入れさせた。結果としてがん細胞は無秩序に増殖を続け、リンパ節から骨、肺へと転移。標準的な抗がん剤治療を本格的に開始した2015年秋には、もはや根治を目指せる病期を大きく越えていた。