法律上、複数の人間が同一内容の債務を全額負担する仕組みには、通常の「連帯債務」と「不真正連帯債務」の2系統が存在します。この2つを明確に分ける分岐点は、債務者同士の間に主観的な共同関係(緊密な意思の連絡やつながり)が存在するか否かという点にあります。
通常の連帯債務は、主として契約によって発生します。例えば、マイホームを購入する夫婦が銀行と交わすペアローンや、事業資金を共同で借り入れるケースが代表格です。借主同士が「二人で力を合わせて返済しよう」と合意し、債権者に対してあらかじめ約束を交わしています。一方の不真正連帯債務は、そのような事前合意が一切存在しない場面で法律の規定や解釈によって生じます。出会い頭の多重衝突事故を起こした見知らぬドライバー同士が、偶然同じ被害者に対して損害賠償義務を負うようなケースです。
両者の実務的な取り扱いや構造的な違いを客観的データとともに整理すると、以下の対比が成り立ちます。
不真正連帯債務をわかりやすく捉えるならば、「被害者の救済を最優先にするため、たまたま同じ損害を引き起こした加害者全員に100%の支払いを義務付けた制度」といえます。被害者は加害者Aと加害者Bのどちらに対しても、損害賠償金の満額を請求できます。Aから1円も回収できない場合でも、Bに資力があれば全額の補償を受けられるため、債権者保護の機能が極限まで高められています。