現役時代、満員の球場でホームランを叩き込み、数々のサヨナラ勝ちを演出してきた阿部監督。そのメンタルコントロールの神髄は、間違いなく家庭内でも共有されている。フィギュアスケートは一人で銀盤に立ち、数千人の視線を一斉に浴びる競技だ。その恐怖感や重圧をどう乗り越えるかという問いに対し、阿部監督が娘に伝えているのは「緊張を敵に回すな、味方にしろ」というシンプルな助言だという。
「ミスを恐れて守りに入ったら、勝ち目はない」。これは巨人の若手選手にも徹底させている阿部イズムそのものだ。失敗した後にどう切り替えるか、次の要素に向けていかに瞬時に心を整えるかという「リスクマネジメント」の考え方は、まさに名捕手として鳴らした阿部監督の得意分野。フィギュアスケートのステップやジャンプのつなぎにおいて、この「引きずらない強さ」が娘の大きな武器となっている。