Q1:糖尿病による目のかすみは、血糖値を下げれば自然に治りますか?視力低下は元に戻るのでしょうか?
A1:かすみの原因によって結果が完全に分かれます。急激な高血糖に伴う水晶体の浸透圧変化(ピント調節障害)だけであれば、適切な治療で血糖値が安定すれば数週間から1〜2カ月程度で視力は元に戻ります。しかし、網膜の毛細血管が破綻したことによる「糖尿病黄斑浮腫」や「網膜虚血」が原因である場合、自力で元に戻ることはありません。死滅した網膜の視細胞は再生しないため、視力を守るためには眼科での硝子体注射やレーザー治療、手術が直ちに必要です。
Q2:ヘモグロビンA1cがいくつを超えると、目のかすみや視界の異常が出始めますか?
A2:明確なカットオフラインが存在するわけではありませんが、一般的にヘモグロビンA1cが7.0%以上の状態が数年続くと網膜症の発症リスクが急上昇し、8.0%〜8.5%以上のコントロール不良状態では急速に進行します。ただし恐ろしいことに、A1cが9%や10%を超えて毛細血管の閉塞が広範囲に及んでいても、網膜の中心部が無傷であれば本人は全くかすみ目を感じない事例も多数あります。「数値が高いのに見えているから平気」という認識は極めて危険です。
Q3:糖尿病と診断されましたが目には全く違和感がありません。それでも眼科で眼底検査を受ける必要はありますか?
A3:絶対に受ける必要があります。糖尿病網膜症は「初期から中期にかけて完全な無症状のまま進む」という特徴を持っています。患者自身が「かすみ」「黒い影」「歪み」などの自覚症状を感じた時点では、すでに取り返しのつかない増殖糖尿病網膜症や黄斑浮腫へ悪化しているケースが臨床上非常に多いためです。糖尿病と診断されたら、症状の有無を問わず、内科とは別に直ちに眼科を受診して眼底の精密検査を受けてください。