トレーディングカードの投機バブルが落ち着きを見せた2026年以降、現物資産として「漫画の初版本」へ流入する資金が目立っています。神田神保町の老舗古書店店主は、近年の現場の変化を次のように語ります。
「以前は白髪交じりの往年のファンが青春時代の思い出を買い戻す場所でしたが、ここ数年は20代から30代の若年層、さらには欧米やアジア圏のコレクターが指値で1巻の初版帯付きを探しに来ます。彼らが求めているのは単なる読み物ではなく、日本が世界に誇るポップアートの『ファーストエディション』という歴史的証明書なのです」(神保町・古書店店主)
一方で、SNSや知恵袋などのコミュニティを検証すると、一般読者と中古査定現場との間でシビアなギャップも頻発しています。
「実家を整理したら鬼滅の刃やチェンソーマンの初版が全巻揃っていたので査定に出したが、最終巻付近の初版は数十円と言われて愕然とした」(20代・フリマアプリ出品者)
「ブックオフで110円の棚から買った昔のマイナー漫画が、実は初版第一刷で帯の中にハガキまで残っており、専門店に持ち込んだら2万5千円の査定がついた。知っているかどうかの知識格差が恐ろしい」(30代・コミック収集家)
現場のデータが物語るのは、「初版であれば何でも無条件に高値がつく」という言説は完全な誤解であるという現実です。大衆が認知した後の初版と、無名時代の初版との間には、越えられない需給の壁が存在します。