急激な再開発地域における治安管理の難しさについて、元警視庁刑事の佐々木成三氏は構造的な課題を指摘する。佐々木氏によれば、古いコミュニティの解体と新住民の流入は、地域防犯にとって最も脆弱な空白期間を生み出すという。
「昔ながらの下町にあった『見知らぬ人間が歩いていればすぐに気づく』という自然な監視網が、高層化と再開発によって一気に失われる」と佐々木氏は分析する。オートロックや監視カメラといったハード面のセキュリティに頼るあまり、住民同士の防犯意識が希薄化し、結果として侵入盗や詐欺犯の標的になりやすい環境が整ってしまうのだ。
警察行政・法執行機関がどれほど巡回を強化しても、住民側の自発的な情報提供がなければ犯行の予兆を察知することは難しい。佐々木氏は、行政と警察、新旧の住民組織が一体となった新たな地域セーフティネットの再構築が急務であると警鐘を鳴らし続けている。