「なぜあの名盤が受賞を逃したのか?」――授賞式直後には、ソーシャルメディア上でグラミー賞に対するネットの反応や評価が激しく飛び交います。世界中の音楽ファンを巻き込む論争の根源には、グラミー賞を主催する「レコーディング・アカデミー(The Recording Academy)」独自の選考基準と投票プロセスが存在します。
グラミー賞は一般ファンによる人気投票やストリーミング再生数ではなく、約1万2,000人以上のアカデミー会員(現役のミュージシャン、プロデューサー、エンジニアなど)によるピア・レビュー(同業者投票)によって決定されます。かつては選考プロセスの不透明さを生む要因として批判された「シークレット・コミッティ(秘密委員会)」が存在しましたが、近年の改革によって廃止され、会員全体の直接投票へ移行しました。
しかし、会員層の年齢構成や音楽的嗜好の偏りが結果に影響を与えるケースも散見され、「批評家絶賛の実験作」よりも「業界内で人脈が広く聴き馴染みのあるポップス」が選ばれやすいという構造的課題は今なお議論の的です。こうした選考基準の真相を知ることで、発表される受賞結果をより立体的に読み解くことができます。