毘沙門堂門跡の名を全国区に押し上げた最大の要因は、境内で繰り広げられる圧倒的な季節の景観美です。特に11月中旬から12月上旬にかけて見頃を迎える毘沙門堂門跡の紅葉は、山科エリア随一の絶景として知られます。
そのハイライトとなるのが、本堂へとまっすぐ伸びる石段「勅使坂(ちょくしざか)」です。両脇から覆いかぶさるように伸びたモミジがトンネルを作り、最盛期には頭上を鮮やかな赤や黄色が埋め尽くします。さらに晩秋の11月下旬以降、木々から散った葉が石段一面に降り積もると、息をのむほど美しい「勅使坂敷き紅葉」が完成します。朱色のグラデーションで覆われた石段の情景は、京都の秋を象徴する一枚として数多くのメディアでも取り上げられています。
一方、春の訪れを告げる主役が、本堂前に堂々と枝を広げる「毘沙門しだれ桜」です。樹齢150年を超えるとされる巨木で、別名「般若桜」とも呼ばれます。枝張りは約30メートル四方にも及び、満開時には淡いピンク色の花が降り注ぐような壮大な光景を見せてくれます。ソメイヨシノよりも開花が早い傾向があり、例年3月下旬から4月上旬にかけてが見頃となります。