荒川区の図書館が持つ魅力は、最新のデジタル設備だけに留まらない。ゆいの森あらかわ内に併設されている吉村昭記念文学館は、荒川区ゆかりの文豪・吉村昭の取材ノートや直筆原稿などを展示し、ドキュメンタリー文学の最高峰に触れられる特別な空間となっている。作家が遺した緻密な資料に触れる体験は、読者にとって深い知覚の刺激となるはずだ。
一方で、地域に根差した南千住図書館なども、それぞれの街が辿ってきた歴史や文化に焦点を当てた独自の棚づくりを展開している。文学館で作家の足跡を辿り、関連する歴史資料を地域の図書館で読み深める。そうした知的な回遊ができることこそ、この街の図書館が持つ奥深い価値なのだ。