中州大洋映画劇場が積み重ねた年月は、そのまま九州における映画鑑賞史そのものと言っていい。洋画の封切館として最新のハリウッド超大作を届ける一方、邦画の名作や単館系の良質な作品まで幅広く上映。木造から鉄骨造へと姿を変えながらも、常に最高の音響と最高の鑑賞環境を追求し続けたこだわりは伝説的だ。
シネマコンプレックスが郊外の大型商業施設へと拡散していく時代にあっても、中州という街の真ん中で「街の映画館」であり続けた。その頑ななまでの姿勢が、映画監督や俳優たちからも愛された理由だ。舞台挨拶に訪れた数々の名優たちが、あの独特の温かみのある支配人室で過ごした時間を愛おしく語っていた記録が今も残る。