『ロッキー』が打ち立てた金字塔は、映画ジャンルの境界線をも破壊した。それまでの泥臭いスポーツ・ドラマ映画という枠組みを超え、エモーショナルなカタルシスを前面に押し出したエンターテインメントの型を確立したのである。
汗と血に塗れたトレーニングシーンを躍動的な編集でドラマチックに魅せる手法は、その後のアクション映画の文脈にも直接的な影響を与えた。メトロ・ゴールドウィン・メイヤーやワーナー・ブラザースといったハリウッドの大手スタジオも、この成功体験を現代のアクションやドラマ制作の規範として長年にわたり継承していくことになる。肉体と意志の葛藤をスクリーンに昇華させたこの作品は、ハリウッド映画のDNAそのものを書き換えたのだ。